【島映画その3】沖縄・久高島の『豚の報い』
『洗骨』のように風葬を扱った沖縄映画を、20年ほど前に観ていた。
『豚の報い』という、沖縄サミットの1年前に公開された作品。
監督は後に『血と骨』を手掛ける崔洋一。小澤征悦がこの映画で俳優デビュー&初主演。ヒロインは地元出身の早坂好恵…って、けっこう濃い面々だったんだなぁ。ざっくりと、どんな話だったか?というと――
・沖縄のスナックに逃げ出した豚が紛れ込み、驚いたホステス(早坂)が気絶。
・彼女は正気を取り戻すも、風習的に「マブイ(魂)を落とした」状態に。
・そこで常連の青年(小澤征悦)正吉の頼りで、マブイ込めの旅へ。
――というのが導入。
早坂&小澤は、ネーネー(先輩ホステス)2人と一緒に神が住まう島・真謝島へ…。と、この島、実在はしないのだけどモデル&ロケ地となったのは、久高島。
沖縄本島の南東、船で往来し易い位置だけど、これが映画と同様、実際に「神の島」として知られる観光スポット。なんでも琉球(沖縄)を創成した女神様が降り立った聖地とされているのだとか。映画は、あれかな、畏れ多くて仮名の島にしたかな…?
そんな神の島へ渡って物語は――
・島の民宿でどんちき騒ぎなネーネーたちが、豪勢な豚料理に当たり下痢ピー。
・そんな中、青年はこの島で風葬された父の眠る砂浜へ赴き、父の骨と再会。
・島での出来事を通じホステスたちが思い思いに過去と向き合い、涙。
――という感じで、4人はマブイ込めのため御嶽へ向かう…という、とても抒情的というか、心に染みるドラマだったと思う。立場や世代で感情移入できる部分が変わり、きっと今見たら新しい発見がありそう。
あ。
しれっと書いちゃってるけど、御嶽(うたき)というのは、琉球王朝時代から神事や祀が行われた聖地で、沖縄には各地に点在していて、世界遺産登録されている場所も。
そんな『豚の報い』を観て、当時感じたことは、沖縄の、琉球の人々は、肉体、骨、そして魂それぞれに死生観とリンクさせた深い意味合いを持ち、それらを風習・文化として親から子へ、子から孫へ大切に受け継いできたのだな…ということ。その過程の中で垣間見る人間模様が『豚の報い』には描かれていたのだと思う。『洗骨』もきっとそうかな。年が明けたら2本続けて見てみるのも面白いかな。
つらつらと書き進めてみたけど、もうちょっとで(このブログの)良さげなスタンスが見えてきそう…かな?